carrier

中森 省吾

「オンコロジーは特別」から「オンコロジーは常識」へ

中森 省吾

パレクセル・インターナショナル株式会社
代表取締役

まず最初に、「オンコロジーアカデミー」を開催された理由をお教えいただけますか。

interview_01_r1_c3近年、高血圧や糖尿病などの主要治療領域の薬剤はほぼ出揃いつつあると思いますが、がんや中枢神経系の疾患に対しては、medical needsを満たす薬剤がまだまだ足りない状況が続いております。このような状況を踏まえて製薬会社は医薬品の開発をしておりますので、当然、当社の新規受注も抗がん剤(オンコロジー)や中枢神経系疾患治療薬に関するものが増えております。わたしたちのお客様である製薬メーカー様からのリクエストで多いのが、「オンコロジーの医薬品開発を経験したことがあり、オンコロジーに関する知識を持っている人から成るチームを出してください」というご要望です。実際には、その様な人材は製薬メーカーでも貴重な存在ですし、ましてやCROが多く保有しているわけでもありません。ですから、この様なお客様の要望を満たすにはオンコロジー開発経験者を採用するか、または自社で教育して人材を育て上げるか、の2つの方法が考えられます。弊社はこの2つの方法を並行して行っており、経験者の採用にも力を入れていますが、自社での人材教育にも積極的に力を注いでいます。実際に、臨床試験の経験は豊富でも、オンコロジーに関してはまだまだ経験不足という人材は多くいますので、そのあたりの下支えをしたいと思って自社教育プログラム「オンコロジーアカデミー」を始めました。

オンコロジーアカデミーを開催するに当たり、講師陣に期待されていることがありますか。

講師のひとり、Dr.デニー・ミラーは当社のパレクセルスペシャリストグループのオンコロジーのトップで、特に血液がんの領域では世界的に高名な方です。彼はCROのビジネスに関しても熟知しておりますので、当社の人材教育に大きく貢献してくれています。また、Dr.リンダ・ミラーもオンコロジーの臨床経験が豊富で、パレクセルの人材育成に熱心に取り組んでくれています。そして、木村講師は日本の抗がん剤の治験や臨床開発の経験が豊富で、今までの業界の様々な紆余曲折を見てきていますし、彼はアメリカにも5年ほど駐在していましたので、グローバルスタディの独特の考え方もよく分かっています。そういった要素を日本人的な視点からうまく噛み砕いて説明してくれると期待しています。

では、逆に受講者の方に期待するオンコロジーアカデミーの関わり方があれば教えていただけますか。

アカデミーとかトレーニングというと何かと構えてしまいがちだと思います。特に日本人は質問するのが苦手ですから、こんな質問をしたら格好悪いとか、まとめてから後で質問したほうがいいとか考えているうちに時間がどんどん過ぎていってしまいます。私は長年外資系製薬会社に勤めていましたので、分からないと思った瞬間に手を挙げ、これが分かりません、というような感じで質問します。研修は5日間続きますし、日常業務もありますので、分からないところを後で家へ帰ってやろうなんてことは多分出来ないと思いますので、受講者の皆さんにもその場その場で分からないところがないようにきっちり習得していってほしいと思います。そして、受講される皆さんは選ばれた方たちですので、それなりの誇りと自信を持って頂きたいです。また、このようなアカデミーを行っているCROは外資も含めて日本にはおそらくないと思いますし、このような学びの機会があることは非常に幸せなことなので、このあたりの認識を十分に持って取り組んで頂きたいです。

クライアントの方にアピールしたいオンコロジーアカデミーの一番のポイントを教えていただけますか。

interview_01_r1_c5オンコロジーアカデミーのコースはベーシックコース(初級)とアドバンスコース(上級)の二本立てになっています。ベーシックコースでは、オンコロジーの基礎知識から最近の知見、およびオンコロジー特有の臨床開発の知識など、すべてを網羅した内容を習得してもらいます。また、アドバンスコースでは、実践的なディスカッションベースの講義内容となっており、アドバンスコースを修了した社員は、おそらく製薬メーカー様の抗がん剤の開発の方々とほぼ対等なディスカッションができるようになると思います。

今後のオンコロジーについて、お願いします。

オンコロジーは「難しい」とか「特別」だと皆さんよく口にされます。「難しい」とか「特別」ということだけで尻込みしたり、クライアント様からも「特別なチームを編成してください」と言われるわけですが、他のCROにとっては「特別」なことでも、パレクセルにとっては「オンコロジーは特別」なことではなく、ある意味、「オンコロジーは常識」に近い位置付けである、といえるように今後も社員教育・人材育成に力を入れていきたいと思います。受講人数もこれからどんどん増やしていく予定でして、年間に約120人がベーシックコースを受け、それが3年続けば360人という、かなりの人数になりますから、それを目指して今後も継続していきたいと思います。最終的な目標としては、社員の約半分がオンコロジーに関する知識を持っていますよ、と言えるぐらいには持っていきたいです。おそらく今の日本中のCROを見ても、オンコロジーの知識を持っている人材は約10%台だと思います。パレクセルの社員の約半数がオンコロジーの知識を持っていれば、社員が成長する幅も広がりますし、また、我が社のビジネスも広がるということになります。これは、会社としては必要な投資なのです。

最後に、クライアントの方あるいはこれからオンコロジーアカデミーを受けられる方にメッセージをお願いします。

オンコロジーと癌のお薬などを論じる場合、私たちは最終的には患者さまのことをイメージしなければなりません。患者さまを差別するわけではありませんが、癌とは進行していく病気なのです。ということは今日の病状と1ヶ月後の病状は全然違うということです。もし、私たちの知識がないために開発が遅れ、患者さまのもとにお薬が届くのが1ヶ月遅れましたということになった場合、本来なら治るはずだった人も、治療の開発が遅れたために治らない、という現実がある世界だということです。そのようなことを防ぐた為にも、いかに効率よく医薬品開発を行い、有効な治療法を一早く完成させて、患者さまのもとにお届けすることがとても重要なのです。そのためにも、このオンコロジーアカデミーにこれからも力を注ぎ、有望な人材育成に励んでいきたいと思います。

ありがとうございます。